見た目にはシミの様に見えますが実はシミでは無い時もあるんです

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シミだと思い込むと、そうとしか見えなくなる

はい、一見には見た目はどう見てもシミに見えますが、実はそうではない場合も多々ある事があります。

人間って初めて見る物に対しては今まで見てきた物と比べて、それに近い物を想像して『これは○○だ!』と認識いたします。

 

当然、冒頭の画像を見た感じでは、誰でもシミだと思うでしょう。

 

お客様もシミだと思い込んでのお持込ですので、『食べ物が付いたのかも?』、という感じで、スタッフもその時には気が付かずにシミ抜きでお受けいたしました。

プロの目から見たとしても、シミとして考えた場合ですと古いタンパク質の変色したシミか、錆などの不溶性のシミの様に見えます。

 

おはようございます、シミ抜き修復師のオノウエです。
思い~こんだら試練の道を~行くが男のど根性!・・・ふる――!

 

一度思い込んだ考えからは抜け出せない

ええ、『一度、思い込んだ考えからは抜け出せない』って、副題はスピリチュアルなたいそうな感じですが、普通にシミ抜きのお話です(笑)

今回はこの生地がポリエステルだったので、もしかするとシミではないかも知れないと、今までの経験上直感で少し疑っていました。

取り敢えず何かわからないシミの場合は、シミ抜きのセオリー通りに油性から順番に処理していきます。

 

まず、油性は反応無。

水性も反応無。

とここまで反応がなければ、色素の可能性もあります。

色素を取る為の酸素系処理も、サビ取りも反応無。

 

はい。
ここで、これはシミでは無いかも知れないとの判断が確信に変わります。
そこで、20倍の拡大レンズで拡大して見てみました。
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あれ?
なんか穴が開いている様に見えますよね。

ちなみに生地は化学繊維のポリエステルなので、この時点でほぼ、火の粉などの超高温のダメージによる溶解だと検証する事が出来ます。

 

ここで、よくあるタバコや、火の子にはご注意の飛び火のお話です。

タバコの火は吸っていない状態の場合、先っちょの外側温度が300度ぐらいで、中心温度は700度ぐらいと言われております。

この火の粉がポリエステルに飛び火すると、あっという間に溶けてしまいます。

ポリエステルの溶解温度は260度前後ですので、お洋服の生地状態の細い繊維なら、もっと低い温度でも溶けてしまいそうです。

 

そこで、もう少しよく見る為に、さらに60倍の拡大レンズでも拡大してみました。
やっぱり思いっきり溶けちゃって穴が開いてます。

 

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超高温でないと、こういう風なピンポイントでの溶解による穴は作れません。
ええ、確定ですね。

そして、この場合は申し訳ございませんが、ドナイも出来ません。

ポリエステル等の化学繊維が溶解してしまった場合には、どうする事も出来ません。

 

ですが。

天然繊維なら今回の様な事が起こった場合には、溶けるのではなくて、焦げて穴が開くという状態になりますので、ニットやウールのかけつぎで部分的な修復処理が可能な場合もあります。

実際に調べて検証する事は重要

でも、今回の様にここまでしっかりと検証しないと、何が原因でどういう事が起きたは分かりません。

理由も分からずに『このシミは取れないので無理です』、とお返ししたのではお客様はシミだと勘違いしたままになりますので、この結果をシッカリと伝えなければなりません。

 

残念ですが、この結果は写真付きでお客様にお伝え致しました。
ええ、起きている現象と事実と結果を報告するのもお仕事ですからね。

 

さすがに、溶けたものはドナイも出来ませんが、シミなら全力で除去致しますよ。

あと、無くなった色も修正出来ますよ♪

ではでは~

 

クリーニングISEYAシミ抜き修復師オノウエノボル

尾上昇
尾上昇
大阪府吹田市五月ヶ丘北のクリーニングISEYA代表オノウエです。TeMA-クリーニングアドバイザーCA/京技術修染会認定修復師/京技術修染会関西地域認定講師/クリーニング師/と複数の専門資格を習得。

メディア:株式会社商業界発行・ファッション販売2016年12月号にて、衣類のお手入れガイドブックを掲載。

メディア:漫画家のふかさくえみさん作「鬼桐さんの洗濯」第2巻と第3巻の表表紙を開けた裏に参考資料として僕のブログである「onouenoboru.com」を掲載して頂きました。
ハッシュタグは「 #鬼桐さんの洗濯 」「 #ふかさくえみ 」 で検索。

メディア:吹田市男女共同参画センターデュオさんにて「プロ直伝 洗濯・アイロンのコツ~男性のための暮らしに役立つ簡単家事術~講座」開催いたしました。

メディア:摂津市男女共同参画センター・ウィズせっつさんの交流室にて「知って得する洗濯豆知識と、簡単!キレイに仕上げるアイロン講座」を開催いたしました。

”3度の飯よりシミ抜きが好き” ”休日はシミ抜き勉強会”こんなクリーニング師をはじめとする熟練スタッフが、お客様の”シミ”をお待ちしています。
お客様に喜んで頂く笑顔が一番のやり甲斐です。『うちのクリーニング屋さん』と呼んで下さい。

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