取れないシミに変わるのはいつ？

はい、実は本来なら簡単に落ちるはずの,取りやすいお醤油のシミが状況によっては取れなくなる事もあるんです。

シミも、ある力が加わると、スゴク落ちにくくなってしまう事があるんです。

その原因は複数あるのですが、主に４つ上げるとこんな感じです。

 

①温度・・・・・高い温度が掛かったり、高温度の状態が続く場合。

②時間・・・・・時間経過と共に酸化（酸素と反応して腐食）してしまう場合。

③物理的な力・・擦る・削る・等の負荷がかかった場合。

④科学的な力・・シミに合わないシミ抜き剤や漂白等の薬品を使用した場合。

 

こうした4つの原因の場合や、それらが複数にお洋服に起こっている場合には、汚れやシミが変化してしまう事が有るんですね。

 

おはようございます、シミ抜き修復師のオノウエです。
逆に言うと、高い温度をかけない、時間をかけない、物理的にも科学的にも触らない。

 

大事なお洋服は、いわゆる『何もせずに早めにプロに見てもらう事』が大事と言う事ですね。

 

お洋服のシミ抜きは病気をお医者さんに見てもらう事に似ている

ええ、結論から言うと、僕たちのお仕事の目的は『お洋服を洗う事』ではありません。

大事な汚れたお洋服をキレイにして、『また着たい』と言う、お洋服に対する切実な思いを叶える事が出来ればいいなと思い、お仕事をしています。

ですので、お医者さんに行った時の事を想像して頂ければイイと思います。

 

例えば、昨日のお昼ぐらいからお腹が痛くなって、市販のお薬を飲んでも治らないので、病院に行きました。

そしてお医者さんに尋ねられました。
お医者さんは『どんな感じでお腹が痛くなりましたか？』とか、
『どんなお薬飲みましたか？』って、聞かれる事が有るとおもいます。

これって当たり前じゃんって思いますよね。
そうなんです。

 

出来ればこの様にお伺いしたいのです。
ですので、クリーニングのしみ抜きでもまずはお伺いいたします。

どういった状況や経緯で、汚れやシミが付いたのか？、が聞きたいのです。
洗ったり漂白したりして、今の状況になってしまったのか？、が聞きたいのです。

何で聞くのかと言うと、もちろんお洋服の異常状態を治したいからなんです。

 

ええ、何も、シミをいじくったからって、漂白したからって怒ったりいたしません（笑）
だからって、お金も余分にかかったりもいたしません。

ですので、症状を恥ずかしがらずに、怖がらずにゼヒ言って下さいね♪

 

そこで、今回は『醤油が付いたと思うけど、洗っても取れないシミ』をお預かりいたしました。
では、シミ抜き事例です。

 

まずは、油性処理を行い、一番上にあるシミの被膜を取り除きます。
この時に、取れやすいシミならこの時点で取れる事も有ります。

 

まったく変化なしですね。
と言う事は、すでに簡単に落ちるシミでは無いと言う事です。

体で言うといわゆる『手術して治しましょう』、と言う事です。

 

では、手術を開始いたします。
まずは表面の油膜は取り除きましたので、色素を破壊する為に部分的に薬品を使い漂白作用を起こします。

 

しかし、一回の処理では薄くはなりますが取れませんので、この処理を複数回いたします。
さらに、別の薬品や温度も加味して使用して繰り返します。

 

さらに、しみ抜きの薬品を部分的に化学反応をさせて、シミの成分や色素を破壊いたします。
はい、繰り返す事3回です。

 

はい、シミは取れました！
無事に手術成功です。
おめでとうございます！

 

こうして、お洋服はまた着る事が出来る様になるんですね。
沢山のお洋服のしみ抜きのウチの一つでは無く、それぞれに思いの詰まったお洋服を治していると感じる瞬間です。

お洋服のしみ抜きって、実は相手がお洋服っていう物じゃないんですよね。

しみ抜きの、その向こう側にあるストーリーや思いや笑顔の為に僕はしみ抜きしているって思うんです。

って言って見たりして♪

 

『良かったコレでまた着れるわ！』
そんな声を聴くたびに思います。

クリーニング屋やってて良かったって♪

ではでは～